2014年5月9日金曜日

ライブ動画配信技術の使い道2(ライブ中継)

前回は、ライブ動画配信技術を使ったテレビ会議についてご紹介しました。 もう一つの使い方はやはりライブ中継の配信だと思います。

ライブ動画配信技術を使えばスポーツイベントやコンサート等を多数の人に見てもらえます。現在ではUstreamやニコニコ生放送等無料のライブ中継サイトも一般化していますので、プライベートなイベント等も手軽にライブ配信できるようになりました。私は見たことがありませんが、PC等でゲームをしている様子をそのままライブ配信して楽しんでいる方もいるようです。

インターネットが普及していなかった時代では、ライブ動画中継をしようとすると放送局以外には不可能で手間も設備も大規模となり非常にコストのかかるものでした。しかし、現在ではスマートフォン一つで全世界に向けてライブ中継を発信する事ができ、昔から考えると夢のような環境が手軽に構築できる状況になっています。

但し、このようなイベントのライブ中継の場合、同時受信者が多数となりますので、動画の映像データを送出する動画配信サーバーは利用者数の増加に伴って非常に大容量のデータを送信する事になり、非常に高負荷の状態となります。またそれだけの情報量を送出できる回線も確保する必要がありますので、動画配信サーバーの構築にはそれなりのコストがかかってくる事になります。このためニコニコ生放送でも、人気コンテンツに関しては有料化等して設備を維持拡張していると思われます。

このようなライブ中継では、視聴者側のPCではその時々で受信した動画データを再生しますので、基本的にはPC内に動画データは残らないため、著作権保護の点でも有利です。このため、テレビ局が過去の番組をネットで再視聴してもらうビデオ・オン・デマンド サービス等でもこのようなライブ配信技術が使われています。 (YouTubeはダウンロード配信という方法のため、視聴するPCにはデータが一時的に保存されています。)

先にテレビ会議の事をお話しました。テレビ会議も今回のライブ中継も仕組みとしては同じなのですが、細かく見るとその要求性能には違いがあります。

まず、テレビ会議の場合は映像・音声に遅延があると問題が発生します。これは双方向でデータをやり取りしますので、こちらの問い掛けに対して反応が遅いと使い勝手の悪いものになってしまいます。丁度、TVニュース等の通信衛星を使った海外中継で会話をしているような場面を想像してみれば分かると思います。

一方のライブ中継の場合は、遅延に関してはそれほどシビアではありません。時報を中継する等の場合は気になる場合があるかもしれませんが、イベント中継等 の場合、現地と数秒程度の遅れが発生してもデータの流れが一方向なので、その遅れに気付く事も無く問題にはなりません。実際にUstreamで試してみた 事があるのですが、実際には5秒以上の遅れが発生していました。このため、これらのUstream等で複数チャンネル使って双方向でテレビ会議の代わりを するというのは不可能です。

このように、同じライブ動画配信技術を使っているのですが、それぞれに要求性能が異なっていますので、それぞれに最適なチューニングが必要となってきます。

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